- だんだん時刻合わせの頻度が多くなっている気がする…
- 今持ってる時計の精度って良いのか気になる
- 時計の時間がどんどんズレてきている
時計の時間にちょっとした誤差はつきものです。特に機械式の時計であれば、なおさらです。
なので本当に気のせいであればいいのですが、毎日毎日時間をぴったり合わせていると、
「なんかズレがひどくなっている気がする」と思う事があると思います。
もやもやし続けるのも不安になるだけなので、実際に今付けている腕時計の精度を測定してみましょう。
測定した結果を見て、精度が悪い場合はもしかしたら原因があるかもしれません。
そこで、時計の精度とは?どこまでが正常なのか?測定する方法を紹介していきたいと思います。
また、方法を教えても使い方がわからないと困ると思うので、1つ1つ丁寧に解説していきたいと思います。
目次
時計の精度について
まず、時計の精度とは何なのかについての基礎知識を教えたいと思います。
そもそも時計の精度って何?
時計の精度は、時間のズレの大きさの事を言います。
時間のズレが無い時計を「精度が良い」時計と言ったりします。
例えば、
1日たつと5秒遅れる時計
1日たつと30秒遅れる時計
だったら、5秒遅れる時計の方が精度が良いという事になります。
ただし、時計を最大まで巻いている事が前提です。
リューズを回して時計が動いたからといって、そのまま精度を測定してもブレブレなので注意して下さい。
どのぐらいまでがいいの?
一般的には+10秒~-10秒までなら精度の良い時計です。
逆に+40~-40秒を超えてしまうと精度が悪い時計になります。
元々±10秒の時計だったのが、±30~40秒になるのは精度が悪くなっているので、注意して下さい。
時計の向きによって精度が違う!
実は聞いたことある人もいるかもしれませんが、時計の向きによって精度が変わったりします。
この時計の向きによって、精度が違う事を「姿勢差」といい、
実際に時計修理店などでは、6つの時計の向きで測定します。
向きは、
- リューズ右
- リューズ左
- リューズ上
- リューズ下
- 文字盤上
- 文字盤下
に向けながら精度を測定します。
時計にも個性があるので、どの向きが精度が悪いのかはそれぞれですが、
ほとんどの時計は作り的に文字盤下、
つまり時計を裏返しにした状態が一番精度が狂いやすいです。
精度の測定方法
測定する前にやらなくてはいけない事があります。
それは時計のゼンマイをなるべく巻くことです。
あんまり巻かずに測定すると時計が遅れがちになるので、巻くようにしましょう。
測定の仕方は3パターンあり、
- 歩度測定器を使う方法
- アプリを使う方法
- 時計を置いて1日放置する方法
がありますが、同じ時計を使って比較してみたいと思います。
それではやり方と見方を解説していきます。
方法①(測定器)歩度測定器を使って確認する
方法①では歩度測定器を使う方法です。
歩度測定器とは、時計の精度を調べる専用の測定器の事で、精度以外の事も調べられます。
お値段は安くて2万円前後です。
時計店でしか持たないようなプロ仕様なので、個人でちょっと使いたいぐらいの人には向いてません。
個人で使うなら、方法②のアプリのほうがオススメです。
測定器の写真ですが、
使っている測定器は「WeiShi Multifunction Timegrapher No.1000」と言います。
こんな感じになっていて、
左が読み取り画面で、右が時計を固定する装置になっています。
画面の読み取り方ですが、
- 精度(日差)= +11s/d
- 振り角= 278°
- 片振りの差= 0.1ms
- 振動数= 28800
の数値が出ています。それぞれ説明すると、
精度(日差)
基本的にこの部分だけを見ます。
1日経つと何秒ずれるのか(日差と言います)を表示しています。
今回だと「-11s/d」と書いてあるので、
1日で11秒遅れる、という事になります。
振り角
振り角とは、テンプの振られている角度の事です。
時計の中にはテンプと呼ばれる、時計の動きを決まったリズムにする部品が入っています。
このテンプはうずまき状のバネで広がったり縮んだりして回転しているのですが、
この回転する時の角度が表示されます。これも精度に影響します。
ゼンマイを巻くと角度が大きくなっていき、いっぱい巻くと270°前後になります。
ちなみに理論上精度が良くなる角度は270°です。
ポイント
片振り(ビートエラー)とは、テンプが縮んだ時と広がった時の時間が同じではなく、ズレてしまっている事を言います。
なので極端なことを言うと音もズレて、
チッ、チッ、チッ、チッ・・・というリズムが
チッ、チチッ、チチッ・・・というリズムになってしまいます。
この差が大きいと精度が安定しなくなります。ちょっとした動きで精度がブレてしまい、最悪の場合は止まります。
これを見てテンプを調整したり、グラフによってはゴミが入っている事とかもわかります。
振動数
振動数とは1日で何回テンプが伸び縮みしたのかを表す数字です。
感覚的には1日何回チッ、チッ、チッ、チッ・・・というリズムが聞こえるのかがわかります。
28800振動、21600振動などが一般的です。
使い方は、
まず電源とコードにあるスイッチを入れます。
次に時計を装着します。
この黒い部分はバネのように伸びるので、はさむように固定します。
(※この測定器のはさむ部分ですが、けっこう角が尖っているので時計を傷つける可能性があります。
同じ種類の物を使おうとしている人は、布でカバーしたりして傷が付かないよう注意して下さい。
自分の場合は角をやすりで削っています。)
そうすると勝手に測定が始まります。
1分ぐらいすると安定していくので、その時の精度を見ます。
向きを変えたい場合は、時計を固定したまま向きを変えられるので、
リューズを下にしたい場合は、根元を右にひねります。
文字盤を下にしたいときは、下にひねります。
これを先ほどの、
- リューズの上下左右
- 文字盤の上下
この6つの向きで測定すれば、プロがやっているのと変わらない測定ができます。
方法②(アプリ)アプリを使って確認する
方法②はスマホなどにアプリを入れて、精度を自動で計算する方法です。
費用もかからず、時間もかからないのでオススメです。
2個のアプリを紹介しますが、全くやり方が違います。お好きなほうをどうぞ。
クロックチューナー
1つ目は「クロックチューナー」というアプリを使った測定方法です。
このアプリでは歩度測定器のように、実際にスマホのマイクを使って精度を測定していきます。
静かな環境でないとできませんが、測定器に近いぐらいの正確さがあります。
個人で使うぐらいなら、測定器を購入するよりこのアプリでいいと思います。
※スマホには磁石が入っているので、磁気があります。
スマホを直接くっつけるような行為は、磁気帯びしてしまうので、絶対にやめましょう。
まずやり方は、GooglePlayストアやAppStoreで、
「クロックチューナー」と検索してインストールします。
そしたらアプリを開くと、マイクを使っていいかの画面が出てくるので「許可」を押します。
押すと自動的に始まるので、スマホのマイク部分に近づけて計測していきます。
時計を裏向き(文字盤下)で測って「+15秒」でした。
けっこう合ってるのではないでしょうか。
Atomic Clock & Watch Accuracy Tool
2つ目は「Atomic Clock & Watch Accuracy Tool (with NTP Time)」というアプリを使った測定方法です。
このアプリでは今の時計時間と、時間がたった後の時間を入力することで精度がわかるアプリです。
時間をスマホに入力していくだけなので、時計を着けながらでも精度が測定できます。
(手軽なので、個人的にオススメです。)
ちなみに1つ目と違い、マイクを使わないので磁気帯びの心配はありません。
やり方は、GooglePlayストアやAppStoreで、
「atomicclock」と検索してインストールします。
はじめに現在の時刻が出てくるので、「your watches」を押して、「+」を押します。
時計の情報を入れる画面がでてくるので、適当に入れて「SAVE」を押します。
枠ができたので、選択します。
「+」を選択して、さらにMeasurement の隣の「+」を選択します。
すると、正確な時刻が出てくるので、「RECORD TIME」を押すのですが、
この押す瞬間に、自分の時計の時間は何時何分何秒だったのかを入れていきます。
自分はややこしいので、時計の秒針がゼロになったら押しています。
「RECORD TIME」を押した時の、腕時計の時間を入れていきます。
やっぱり時計の時間を見ながら押したほうが楽ですね。
これを気が向いた時間に入れていき、3,4回同じことを繰り返していきます。
終わりたいときは、「+」を選択して、Finish series の隣の「⏱」を選択します。
「OK」を選択すると、地味ですが真ん中に、日差として精度が出てきます。
「+12秒」でした。時計を着けながら測定したので、正確なほうだと思います。
方法①(アナログ)時計を1日置いて確認する
方法③は時計を直接どこかに置いて、1日後に確認する方法です。
一番やることが少なくて単純ですが、実際に1日時計を外さないといけないので、時間がかかります。
やり方は、決まった時間(今回は12時)に針を合わせて、平らな所に時計を置きます。
この時に、時計を裏返しておきます。
文字盤を下にすると一番精度が悪くなるからです。
このまま24時間後、
時計を元に戻して時刻を見てみます。
「+13秒」でした。
ゼンマイも巻かずに1日放置なので、本当は正確とは言えませんが、
これで1、2分ぐらいズレるようなら、怪しいと思ったほうがいいと思います。
時計の精度が悪い場合は?
時計の精度は向きや温度によっても変わりますが、これが何十分と違う場合は時計が異常な状態です。
その場合はいくつか原因があるので調べてみましょう。
原因① 時計が磁気帯びしている
時計が磁気のある物(磁石の付いたもの)に近づけてしまうと、時計自体が磁石化していまいます。
これを磁気帯びと言います。
磁気帯びしてしまうと精度がかなり狂ってしまい、あまりにひどいと止まってしまいます。
厄介なのが、いったん磁気帯びしてしまうと、自力で回復することができません。
「脱磁器」という磁気を抜いてくれる機械を使わない限り、磁気帯びしたままになります。
自分でチェックしてみて、磁気帯びしていたら、近くの時計屋に行って磁気を抜いてもらいましょう。
原因② 時計内の油の劣化
時計の中には動きを良くするために油が付いているのですが、
4年ぐらいたつと油も古くなっていき、硬くなったり、汚れになっていきます。
全体的に動きも悪くなり、精度にも影響していきます。
そうなるのを防ぐために、定期的なメンテナンス(オーバーホール)が必要になるわけです。
精度測定でたびたび使ったこの時計ですが、オーバーホールする前は12時間で1時間ズレていました(笑)
ひどいズレかたをしている時計は、そろそろオーバーホールを依頼したほうが良いかもしれません。
オーバーホールって何?修理とは何が違うの?どんなことをするのか徹底解説!
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最後に
いかがでしたか?
これで精度についてや、それぞれの測定方法がわかってもらえれば幸いです。
個人的にスマホを使ったやり方はオススメなので、ぜひ使ってみて下さい。
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