ネットを見てみると、「オーバーホール・修理」のように一緒になってる所をよく見かけます。なので、
「オーバーホールと修理って同じ内容なのかな?」
と思いますが、やろうとしてる内容は全く違います。
車や機械に詳しい人は知っている人もいますが、ほとんどの人は聞いたこと無いと思います。
そこで、オーバーホールとは何か、修理とは何かを、なるべく分かりやすく解説していきたいと思います。
目次
オーバーホールって何?
オーバーホールとは日本語で分解検査という意味です。
つまり時計で言えば、
「時計をバラバラに分解して、部品をチェック、掃除をしたあとに組立てて元に戻す事」
全部を合わせて、オーバーホールと言います。
すごくかみくだいてまとめると、
オーバーホールの流れ
- ネジ1本になるまでバラバラに分解
- 洗浄機でパーツを全て洗う
- パーツ1つ1つ悪い所がないかをチェック
- パーツを組み立てをしながら動きをチェック
- 時間にズレがないかをチェック
- 完全に元通り
ここまでが全部オーバーホールです。
オーバーホールで一番重要なことは油を付け直すことです。これを注油といいます。
これがオーバーホールをする理由と言ってもいいぐらいです。
時計は金属でできています。
歯車と歯車を回しながら動かしているので、そのままだと摩擦が強くなって、削れてしまいます。
削れたり欠けたりしてしまうと、時計が全く動かなくなってしまいます。
それを防ぐために油を付けることでスムーズになり、長持ちするわけですね。
また歯車を支えている棒も板と板ではさんでいるので、摩擦があります。なのでここにも注油します。
修理とは何が違うの?
修理は、時計のどこか悪い所を直すか交換して元に戻す事を言います。
例えば、時計の針が取れてしまったりした場合は、時計のケースを外して、針を戻して直す所までが修理です。
なので、違いをまとめると、
修理
分解→交換→組み直し
オーバーホール
分解→掃除→組み直し
がだいたいのイメージです。
オーバーホールって実際にどんなことするの?
時計は中身のパーツが70個以上詰まっていて、1個たりともムダなものはありません。
オーバーホールでどんなことをやってるのかを知っておけば、知識が深まったり、改めて時計のすごさを感じたり、今付けてる時計に愛着が持てたりするので、見ておいて損はないと思います。
ちなみにですが、
ここから先は専門用語ばっかりでてきます。大まかなジャンルはなるべく理解できるよう説明しますが、
そのジャンルの中の専門用語はあえて説明しません。
どれだけ細かい作業が多いのかを伝えるためなので、ご了承下さい。
オーバーホールの内容
時計の中身を見てみないと実感がわかないと思うので、実際に分解してみました。
分解したした時計は、「セイコースポーツマティック」という自動巻きの時計です。
① 時計を分解する
■ムーブメントまでの分解準備
・裏ブタを開ける
■自動巻き機構を分解する
・3つのネジを外して自動巻きを取り出す
・ネジを外して、ローターを外す
・自動巻き伝え車と受け板を外す
・マジックレバーと受け板を外す
■ケースからムーブメントを取り出す
・ゴムパッキンを取り出す
・2つのネジを外して、中枠を取り出す
・ボタンを押しながら、リューズを引き抜く
・ケースからムーブメントを外す
■文字盤を外す
・時針、短針、秒針を取り外す
・両脇にある2本のネジをゆるめる
・文字盤を外す
■輪列を分解する
・テンプの受け板ごと取り外す
・アンクルと受け板を取り外す
・受け板を取り外す
・ガンギ車を取り外す
・角穴車を取り外す
・2番車、3番車を取り出す
・香箱車の受け板を取り外す
・香箱車を取り出す
・裏返して、筒車を取り出す
・4番車の受け板を取り外す
■裏側部分を取り外す
・曜日カレンダーを外す
・筒カナ駆動車を取り外す
・カレンダージャンパー押さえとカレンダージャンパースプリングを取り出す
(ただし無くす)
・カレンダー押さえを取り外す
・カレンダーディスクを取り出す
・日の裏車を取り外す
・子鉄車を取り出す
・曜日ジャンパー?を取り外す
・日送り車を取り外す
・カレンダー押さえを取り出す
・裏押さえを取り外す
・カンヌキ、オシドリ、キチ車を取り出す
・ツヅミ車を取り出す
・カレンダー早送り操作レバーを取り外す
■インカブロックを取り外す
オーバーホールのタイミングは?
メーカーや時計屋さんで言っている事に多少違いはありますが、タイミングは4年ごとにオーバーホールすれば問題ないと思います。
理由は油がダメになるからです。
オーバーホールをする時に一番大事なことは、油を付け直すことです。
油は時間が経つとだんだん古くなり劣化していき、汚れたり、硬くなったりしてしまいます。
② パーツを洗浄する
③ 時計を組立する
④ 時計の歩度を確認する
➄ 組立後、再度時計の歩度を確認する
オーバーホールを放置するとどうなるの?
時計を放置すると最悪の場合、動かそうとしても動かなくなります。
時計の中にある油が劣化してしてしまい、さらにそのままにすると、最後は乾燥して硬くなってしまいます。
その硬い油が悪さをして、動かなくなります。
また動かせたとしても、油のせいだったりパーツ同士が直接ぶつかるので、パーツがすり減ってしまい、交換しないと使えなくなります。
なので費用が高いからといってやめてしまうと、かえってお金が高くつくので、普段使っているのであれば、なるべくやってあげましょう。
オーバーホールの値段は?
各メーカーで確認しないと金額がバラバラなので、なんとも言えないですが、5万前後と思っておけばいいと思います。
修理専門店であれば、50%~70%の値段でできるので、大体3万前後です。
オーバーホールするときに注意点は?
オーバーホールを依頼するときに注意点があるので伝えておきたいと思います。
あらかじめ知っていれば、裏切られた!、こんなはずでは・・・なんて思わずに済みます。
オーバーホール代とは別にパーツ代もかかる!
先ほどオーバーホール代の事でちらっと説明したかもしれませんが、オーバーホール代の金額と、パーツ代の金額は別です。具体的に言うと、
オーバーホール代 → 50000円
リューズ代 → 10000円
ゴムパッキン代 → 1000円
だとすると、合計で61000円になります。
古くなった時計や、あまりオーバーホールをしなかった時計を依頼するときは、なにかしらの部品が劣化したり、削れていたりするので、パーツ代はかかるものと思いましょう。
ちなみにですが、見積もりの段階でパーツ交換が必要かどうか教えてくれるので、急にパーツ代がかかる場合はほとんどないです。
何かやらかしたことは素直に言う!
どうしても人間なので、ちょっとした不注意やミスでうっかりやらかしてしまうのはしょうがないです。
時計でいえば、落としてしまったり、ポケットに入れっぱなしで洗濯してしまったり、雨の中や濡れた手でリューズで日付をいじってしまったり・・・などです。
その時は、見積もりをする段階で素直に落としてしまった事や湿気が入った事を伝えておきましょう。
修理する人も、重点的に問題が無いかどうか見てくれます。
保証とは言え、自分がやった不具合は保証されない!
勘違いする人がいるかもしれないので、あえて入れました。
先ほどの話にも出てきましたが、時計が返ってきてから自分で乱暴に扱ったり、やらかしたことで起きた不具合や故障は保証できません。
あくまで修理の保証というのは、時計が届いたときに変な音が鳴っている、使用してすぐ時間が遅れるようになったり、などです。
電池交換やベルト修理だけだと受け付けてくれない所がある!
修理会社によっては、オーバーホールとセットなら電池交換やベルト修理をやりますが、電池交換だけ、ベルト修理だけだと受け付けてもらえない場合があります。
会社サイトの修理ページで、電池交換やベルト修理などが書いてなければ基本的に受け付けてないと思われます。
面倒かもしれませんが、近くの時計屋さんで直してもらいましょう。
まとめ
いかがでしたか?これを読んで理解していただければ幸いです。
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