- オーバーホールの費用高いな・・・
- 高級品だし、直す時手放したくない
- 自分で持ってるし、自分で直してみたい
そう思って自分でオーバーホールやってみようかと、あなたは考えていませんか?
結論から言うと、素人は絶対にやめた方がいいです。
自分も愛着のある時計を持っているので、ちょっとやってみようかと思っていた時期があったのですが、かなりデメリットが多かったので、紹介していきたいと思います。
目次
そもそも費用が高くなる!
1万ぐらいで済むだろう・・・なんて思ってませんか?
そんなことはありません。ざっくり計算しても4万以上はかかります。
どうしてそんなに高くなるのか解説していきます。
専用の工具が必要
時計を分解するには専用の工具が必要です。
時計のパーツがひとつひとつ小さいので、それに合わせた工具が必要になるからです。
例えばですが、
ピンセット
- パーツをつまむのに必要です、言わずもがなですね
ドライバー
- ねじを回すのに必要です、これも言わずもがなですね
ばね棒外し
- 時計のベルトを外す時に使います
時計固定台
- 時計を固定するための台です、裏ぶたを外す時に使います。
オープナー
- 時計の裏ぶたを開ける道具です。
普通の時計は薄く平べったいこじ開けタイプで、
防水時計はねじ回しできるように3点などで固定するタイプがあります。
など、他にもまだまだあるのですが、ここまででも必要なものが多いです。
工具セットも売ってはいますが、それでも3000円ぐらいします。
専用の装置、道具が必要
工具はあくまで、時計を分解したり組み立てるためにあるだけです。
「オーバーホール」をしたいのであれば道具や装置が必要です。
具体的には、
- オイル
- 超音波洗浄機
- 精度測定器
- 脱磁器
などは最低限必要になります。
オイル
オーバーホールをする時に一番大事なことは、油を付け直すことです。
油は時間が経つとだんだん劣化していき、汚れてしまったり、硬くなったりしてしまいます。
そんな状態で時計を動かしたりすると、パーツ同士がすり減ってしまったり、最悪の場合は油が詰まって動かなくなってしまいます。
この油が劣化するまでの時間が大体3~4年前後なので、
オーバーホールは3~4年に1回やって下さいと言っているわけですね。
そんなわけで、油を準備する必要があります。値段は3000円ぐらいします。
油を買ったからといって、1つの油だけで使うわけではありません。
アンクル用オイル、ゼンマイ用オイル、軸受け用、ホゾ穴用などなど・・・・時計のパーツによって何種類も使い分けています。
そうなると、最低3種類ぐらいの油はいるので、1万円は超えてしまいます。
超音波洗浄機
汚れや細かいチリやホコリを取るのに使います。
バラバラにした時計のパーツを洗浄機の中に入れ、しっかりと洗います。
洗浄機も必要なので、4000円程度かかるかと思います。
精度測定器
腕時計の時間のズレをチェックするのに使います。
1日で何秒かは遅かったり早かったりはするんですが、色んな向きにすると時間のズレかたが違います。
この測定器は早くズレをチェックでき、しかも色んな向きで固定できるので、これも必要です。
お値段は安くて2万円ぐらいになります。
脱磁器
時計の磁気帯びを抜くのに使う装置です。
時計はとても磁石に弱いです。近づけてしまうと、時計の時間が狂ってしまいます。
特に電池では動いていない機械式時計は、いったん磁気帯びしてしまうと、いつまでも磁気は消えません。
- マグネット類
- スピーカー
- パソコン
- 磁気ネックレス
- スマートフォン
など、磁石を使っているものは多いです。
特に最近ではスマホを使う事も多いので、気を付けないと近づけてしまい、すぐ磁気帯びしてしまいます。
なので、今の時代には磁気抜き器が必ず必要になります。8000円ぐらいします。
交換用のパーツが必要になる
ただ分解して組み立てるだけならいいですが、どこか悪い所がありそうな場合は、パーツを交換する必要があります。
最低限、ゴムパッキンは劣化するので、交換が必要になります。
パーツを取り寄せする分、お金がかかります。
全部合わせると・・・
オーバーホールするのに必要な物がわかったので、合計金額を見てみましょう。
合計金額
- 3000(工具代)
- 10000(オイル代)
- 4000(洗浄機代)
- 20000(測定器代)
- 8000(磁気抜き器代)
=45000 + パーツ代
となります。
そうなんです、4万5千円ぐらいになってしまいます。
しかも安くてこのぐらいなので、本格的な物を使おうとすればもっと掛かります。
4万5千円というと、メーカー修理のオーバーホール代金ぐらいはかかってしまいます。
修理専門店ならもっと安いです。
お金をかけない事が目的なのに、かえって費用が高くなってしまうのです。
パーツが手に入りにくい
交換したい部分があるからといって、個人がメーカーにパーツ欲しいと言われてもくれません。
時計専門店でしかやり取りできないルートがあるため、非常に手に入りにくいです。
パーツが細かすぎて無くしやすい
部品のほとんどはしっかりと見てないと見失うものばかりで、米粒でもかなり大きい方です。
特にネジは、この小ささで回す所があるのかというぐらい、パッと見では分かりません。
部品を落とす、ピンセットではじいて飛ばす、なんてことをしたら、見つけるのが困難になります。
作業手順が多く、時間がかかる
オーバーホールはとにかくやることが多く、集中しないといけません。
また、専門の人と違い、慣れているわけでもないので時間がかかります。
精度が安定しない
精度とは、時間のズレの事を言います。
せっかくオーバーホールができても、精度が悪くて時間がズレまくっていたら時計として意味ありませんよね?
テンプのへたり具合や、油の付き具合などで時間のズレが出てきます。
例えば、修理屋さんは慣れているので油をどのぐらい付ければいいのかわかりますが、素人目ではわかりません。
精度が合わない場合は、また分解して組み立てないといけません。
修理専門店に修理してもらえない
自分でやってしまっているので、メーカー修理はもちろんできませんが、修理専門店でもできない場合があります。
どんなお店でもプロが中身を見れば、素人がやったという事が即バレます。
怪しい目で見られるだけでなく、そもそも修理を受け付けてもらえなくなります。
まとめ
いかがでしたか?これを見て心変わりしてくれるのを願っています。
オーバーホール代金の6割近くは修理した人の手間賃です。
今までのを見てきて、どれだけ面倒や手間がかかっているのか理解できたかと思います。
この全部の流れをプロの人たちは2、3時間あればできてしまいます。
そんな中、時計修理専門店ならメーカー修理価格の50%~60%で引き受けてくれます。
なので、自分で修理やオーバーホールせずに、きちんと修理業者さんに依頼してもらいましょう!